協立精工が解説!プレス加工の種類について vol.1
プレス加工の種類 せん断加工・曲げ加工
プレス加工には、いくつかの加工法があります。
中でも多く利用されているのは、素材を分離するせん断加工、板材を変形させる曲げ・絞り・成形加工、そしてブロック材を成形する鍛造加工です。
それぞれ、切る、曲げる、形作るという作業に対応します。
プレス部品の材質、形状、あるいは寸法精度に応じてこれらの工法をうまく組み合わせて活用することにより、製品精度と金型寿命の安定した生産が可能となります。
今回はせん断加工と曲げ加工について説明させて頂きます。
せん断加工とは??
広義のせん断加工とは、加工の目的に応じた形状の工具を用いて、板材または棒材を塑性変形(せん断変形)させ、最終的には材料の破壊にまでもっていき、所望の形状・寸法に材料を切断、分離する加工法の総称です。
はさみで紙などを切る事や、型抜きクッキーなどは、せん断加工と言えます。
そもそも、せん断は、物体にズレを起こすことです。はさみで紙を切る時は、紙の面に垂直な方向に、上下逆方向の力を加えることで紙は2つに切れます。この力をせん断力といいます。
プレス部品の成形におけるせん断加工とは??
せん断加工は、プレス部品の成形には必ず使用される基本工法であり、パンチ(凸型の工具)とダイ(凹型の工具)を組み合わせた金型により、平板状の被加工材に穴を開けたり、外形をせん断したりします。
せん断加工は生産性が高いので、プレス加工では極めて多く用いられていますが、精度の高い製品を作る為には、プレス金型の設計やプレス加工の仕方に工夫が必要となります。
プレス部品の成形における主なせん断加工の種類
ブランク抜き(外形抜き)→形を作る(blanking)
金属材料から、抜いたものを製品とする打抜き加工
穴抜き→穴を開ける(piercing)
プレス加工した製品に穴をあける加工
切欠き→余分な部分を切り去る(shearing, notching, trimming)
板や棒を切断、分断したり、切込みを入れたりする加工
分断→2つの部品に分割する(parting)
一つの金属素材を2つに分けること
シェービング加工(shaving)
は断面の凹凸を、平滑で高精度仕上げをすること
曲げ加工とは??
曲げ加工とは、平板や棒材及びパイプなどを、所定の位置で曲げる加工方法です。
直線や曲線状の縁を成形し、主に、V曲げ、L曲げ、U曲げの3種類に分類され、ハット形状や筒形状などいろいろな形を成形します。
曲げ加工を用いた身近な製品には、ホチキスやフック、クリップなどがあります。
これらの製品の形状は、金属の平板を切って曲げることで得られます。単純に曲げただけの形状なので、加工は一見簡単なように感じられるかもしれませんが、一定の曲げ角度を得ることは容易ではありません。
プレス部品の成形における曲げ加工とは??
プレス部品を成形する際の曲げ加工では、パンチとダイの間に鋼板を入れ、パンチを降下させることで、所定の角度や形状のフランジを作りますが、平板のV曲げを例に取ると、曲げた内側は圧縮成形に、外側は引張り成形になり、除荷後に外に広がって寸法変化するスプリングバックと、内側に変化するスプリングゴーという現象が起きます。
また、板幅方向の変形状態として、内側の圧縮、外側の引張りの応力により反りが生じることもあります。
さらに、曲線曲げにおいては、フランジ部が凹面は伸びの応力、凸面は圧縮の応力が働き、これらは逆方向に反りを生じさせるため、加工条件を適切に選び、両作用のバランスを取ることで反りを打消すことができるのです。
高い精度の曲げ成形は、スプリングバックとこれらの制御が重要となり、高張力鋼板等の硬度の高い材料ほど顕著となるので、高い成形力を必要としてプレス加工の能力も大きくなります。